【水虫とは】
いわゆる「水虫(みずむし)」と呼ばれる疾患は、主に足に生じる真菌感染症を指します。足水虫では、かさかさしたタイプ(角化型)と、じっとりしたタイプ(湿潤型)があり、角化型では主に足底がかさかさと皮がめくれた状態になり、湿潤型では主に指の間が湿っぽくふやけた状態になります。
一般的に水虫はかゆいものと思われていますが、必ずしもかゆいとは限りませんし、逆に足がかゆければ水虫というものでもありません。
【水虫の診断】
診断にはめくれそうな角質を少しこすり落として顕微鏡で検査することが必須です。顕微鏡の検査なしに水虫を診断することはどんな名医であってもほぼ不可能です。また、皮膚科専門医でなければ顕微鏡の検査を行っていても正しく診断できていない可能性も否定は出来ません。ただ、角化型の場合などで病変部に菌が少ない場合もあり、検査をして必ず一発で正しく診断できるとも限りません。
【水虫の治療】
足水虫であれば大抵の場合は抗真菌剤の外用で1~3ヶ月程度で治療できることが多いですが、足環境(長時間長靴を履く、スポーツで常に足が蒸れているなど)によっては非常に治療が困難な場合があります。
また、免疫が出来る疾患ではありませんので、治療しても夏になるとまた水虫になってしまう、というようなこともあります
【爪水虫について】
爪水虫の場合は、爪が白く濁るという症状が見られますが、やはり顕微鏡での検査で診断する必要があります。爪が白く濁って厚くなっていても必ずしも爪水虫とは限りません。きゅうくつな靴を履いていたり、爪周りに外傷を受けたりすることによって、爪水虫ではなくても爪が変形し厚い爪になることがあります。また、足の小指の爪も伸びが悪いため濁って変形した爪が爪水虫と区別がつきにくいこともあります。
【爪水虫の治療―塗り薬】
爪水虫の治療には塗り薬と飲み薬の選択肢があります。最近では効果の高い外用薬もあり、爪表面に1日1回塗るだけで治癒できることがあります。以前は爪白癬には内服で治療するしか根治する方法がありませんでした。しかし2014年から、基礎疾患があったり内服治療に抵抗があったりする方にも、爪水虫を塗り薬で治す、という治療選択肢ができました。ただし、半年から1年程度毎日外用を継続する必要があり(面倒くさくなったり忘れたりすることもありがちです)、爪の伸長が悪い場合などでは必ずしも改善が見られないことがデメリットです。
【爪水虫の治療―飲み薬】
飲み薬での治療は、水虫の原因となるカビの発育を抑える抗真菌剤の内服になります。3種類の薬剤があり、内服方法も薬剤によって変わります。内服薬は外用剤と比べて効果が高いですが、血液検査が必須であったり、基礎疾患によっては内服できない疾患があったり、飲み合わせに注意しないといけない飲み薬があったりするなど、必ずしもどなたにでも治療薬として使えるものではありません。ただ、若くて健康な方に対してであれば、最も手軽に確実に爪水虫を治療出来る有力な選択肢です。